個人的な偏りに満ちた観劇記を中心とした私的日常雑記です。「俳優 畠中洋さん」を熱烈応援中〜!
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エリザベートとニュー・ブレイン
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    カウントダウン企画番外編<妄想劇場>
     「エリザベートとニュー・ブレイン」 夢のコラボ 




    初日まであと6日。 稽古はまさに佳境。 この劇場は地下に稽古場があるので助かるな、と思いながら着替えていると、驚いたことにロジャーが訪ねてきた。
     
    「やあ!来てくれたんだね。でもどうして? 今は出張中じゃ…」
     
    「初日の前にはっきりさせておきたいことがある。 何のことかはわかるね?
    ちゃんと説明してもらいたい。」

    静かに彼は言った。

    まずい。これはかなり怒っている。 爆発しそうな時ほど静かな声で話すことは長い付合いだからわかっている。 沈着冷静に見えるけど、意外とキレやすいんだよな・・・。
     
    「えーっと、どこまで説明してたっけ?」 

    ちょっとおどけて目をぐるっと回してみたが、彼の表情はピクリとも動かない。
    まずい。かなりまずい。
     
    「新しい仕事を引き受けた、というところまでしか聞いていない。」
     
    「あー、そうなんだ。 うん、実は黄泉の帝王のローテーションに入ってくれないかと言われてね。 
    仕事の内容は作曲じゃなくて歌うほうなんだけど、とにかくすばらしい曲ばかりなので勉強になると思って引き受けたんだよ。 3ヶ月だけの短期だし。」 


    おかしい。本当のことを言っているのに言い訳がましく聞こえるのはなぜだ?
     
    「そのせいで一緒にセイリングには行かれないってことなんだな。」
     
    「も、申し訳ないっ!なぜかちょうどバカンスシーズンにかかっていることも考えずに引き受けちゃったんだよ。 今までの自分の殻を破るチャンスなんだ! この埋め合わせは必ずする!!」
     
    「わかった。仕事ならあきらめよう。一人で行くことには慣れているからな。
    予想外の事態ってわけじゃない…」

     
    そうだよ。いつもは1人で楽しそうに出かけてるじゃないか。 何で今回に限って・・・あ、俺か。 俺が自分で「一緒に行く」って言ったんだっけ。  
    まずい。 ますますまずい。
     
    「本当〜にごめん! 秋には必ず時間を作るから。 今度こそクロスワードパズルも持っていかないと誓う! そして最後のダンスは君のものだ!」
     
    「OK。 約束だ。」

    お、ちょっと目が笑ったぞ。よしよし。
     
    「問題は、だ。」
     
    「うん?」
     
    「どこまで本気でやるつもりなのかってことだな。・・・女相手に。 なんでもストーカーみたいに追いかけ回すらしいじゃないか。」
     
    うっ、そこまで内容を掴まれていたとは。
     
    「仕事だよ仕事っ!君らしくないなあ、そんな嫉妬めいた台詞は。」
     
    「ほーう。 仕事・・・ね。 いいだろう。 確かに君がゲイなのは僕が一番良く知っているわけだからね。 
    だがあっちの若い男とのことは?」

     
    おいおい、どこまで情報筒抜けなんだよっ!
     
    「えーっと、それは・・・あ〜、ル・・・皇太子のことかな?」

    あえて「ルドルフ」ではなく「皇太子」なんて俺もちょっと姑息かな。
     
    「皇太子? ふん、身分までは知らないね。」 

    いかん。また目が怒り出した。
     
    「誤解だ。それこそ仕事だよ。ほらだって、黄泉の帝王だからさ、あの世に送り込まなきゃいけないだろ?」
     
    プチッ(#−“−)

    「そんなことは召使にやらせておけばいいだろう! ばばあの皇太后にはキスしないくせに、若い男が相手だと帝王自らお出ましなのかっ!」 
     
    うわー、全部ばれてるよ。 リハーサルは非公開だったはずなのに、なぜだ?! 
    しかも身分だってちゃんと知ってるんじゃないか・・・なーんて突っ込んだらもっと怒るなきっと。 
    …自分たちが「召使」なんて呼ばれたことはダンサーズには伏せておこう。
     
    「いやそれはだって『脚本』があることだからさ、もーーーー誓って200%仕事! 
    それにあいつ、若く見えるけど実際は30過ぎてるから!ちゃんとwikiってみてよ。 ウィーン版のDVDを見てくれてもいい。 いいトシをしてマザコンだ。 それに本当はハゲてたらしいし。」

     
    「・・・そうなのか?」
     
    「もちろん。 そりゃ30でも俺たちよりは若いけどさ、君のような恋人がいてなんで俺が他のヤツに気をとられたりするって言うんだい?」
     
    「まあ、そう言われればたしかにそうだが。」

    よし!今のは効いたみたいだぞ。
     
    「当たり前だよ、ダーリン。 俺はこの作品でもっとT社に食い込む。 そして必ず君との舞台を再演するんだ!」
     
    「そ、そんなことまで考えていたのか・・・! わかった。君を信じて待っている。 
    僕もしばらく仕事で地方に出張が続くが、きっと観に来るから。 自分の納得のいく舞台を作ってくれ。
    I feel so much 黄泉の国!

     
    すっかり機嫌をなおしたロジャーは
    「よーし、それじゃついでにおまえの写真展でも見てから帰るか」とニッコリ笑い、
    けーろっけろっ元気いっぱい、飛ぼうっ♪ と、ハミング&スキップで日比谷を後にした。
     
    おしまい

    Posted by : chawan | NB保存委員会 | 01:21 | comments(7) | trackbacks(0) | - | - |
    コメント
    黄泉の帝王がお忍びでベトナムに入り浸ってしまったために、やむなく捜索に出た召使たち。民族解放戦線のゲリラ軍に・・・、
     A.捕虜にされる
     B.援軍として強制的に参戦させられる
    さぁ、どっち!?
    | みっしー | 2010/08/04 8:37 AM |

    chawanさん、面白すぎます!
    (そしてこれをわりとリアルに?正確に?想像できる私たちだたりして)
    | LEO | 2010/08/04 9:30 AM |

    うっぷぷぷー!笑わせないでください〜!
    chawanさん、ステキです(笑)いや〜ん!
    『俺はこの作品でもっとT社に食い込む。 』がちょっとリアルで、ステキさ倍増ですー。
    | きひろ | 2010/08/04 10:53 PM |

    ガラコン前のつぶやきともコラボされていて、パソコンの前でおなかを抱えて笑いましたー。

    以前「NB」の稽古で、ゴードンとロジャーだけの「エチュード」を行ったお話を思い出し、こんな感じだったら楽しいなー♪、と考えずにはいられません。

    エーヤンchawanさん(笑)!!
    | ふうこ | 2010/08/04 11:21 PM |

    みなさま、コメントありがとうございます!!

    >みっしーさん
    そうでした!うっかり地方公演のことしか頭になかったんですが、そもそもロジャーはホワイトカラーのくせにベトナムで戦っているんでした。(笑)
    うーん、召使いたちは諸刃の剣。「死のキス」は自分たちの戦力に取り入れたい反面、自分たちが殺される危険も大きすぎて困ります。ここはいっそ帝王さまを捕虜にして
    召使たちに言うことをきかせるってことでどうでしょう。

    >LEOさん
    あー、やっぱり妙にリアルに二人のやりとりする様子が浮かぶのは私だけじゃないですよね。(笑) 私なんてとにかくこの妄想を頭から消すには書かないといられない気分になったもので…。

    >きひろさん
    そこ、私の願望入ってますね。(笑) こうなったらもっともっとビッグになっていただいて、彼の好きなようにT社が動くところまで登っていただきますっ!

    >ふうこさん
    え!そっちとリンクさせますか!! 確かに想像すると笑えます。
    「はい、じゃあロジャー、今度は浮気を疑って嫉妬してみて。 ゴードン、それを何とかなだめて。始めっ!」なんちゃって。 私の妄想ですから当然なんですが、私の頭の中ではそりゃもう
    リアルにゴードンが言い訳してます。(笑)
    | chawan | 2010/08/05 3:39 AM |

    こんにちは!
    もう、chawanさんの才能に感服いたしました!何回読んでも笑っちゃいます。
    ほんとうにリアルに、頭の中でゴードンとロジャーの声が聞こえます(笑)

    そしてまたも黄泉の帝王拉致計画が…(笑)
    召使だけでなく、もれなくロジャー(重要)もついてくる計画でしょうか。

    T社を好きなように動かして欲しいですねぇ〜。(ふふふ…)
    目指せT社の影の帝王〜!!(そんなキャラだったかな。笑)
    | しろ | 2010/08/05 12:40 PM |

    >しろさん
    コメントありがとうございます!
    うーん、確かに帝王さまを拉致すればもれなくロジャーも捕獲できる・・・? その気になっちゃいそうです。(笑)
    しかし、写真展見る前に書いておいてよかったです。
    あのノーブルなお姿を見てしまったらこんなおちゃらけにできなかったかも知れません。
    いやはや、帝王さまったら王子様なんだからもー!
    | chawan | 2010/08/07 1:59 AM |










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