個人的な偏りに満ちた観劇記を中心とした私的日常雑記です。「俳優 畠中洋さん」を熱烈応援中〜!
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    負傷者16人 −SIXTEEN WOUNDED−

    2012年5月16日 19:00開演 新国立劇場(小劇場)
    B3列 下手ブロック 同行者: 友人K

    演出:宮田慶子
    作:エリアム・クライエム
    翻訳:常田景子

    マフムード:井上芳雄
    ノラ:東風万智子
    アシュラフ:粟野史浩
    ソーニャ:あめくみちこ
    ハンス:益岡徹
     
    お、お、お…重い。 Il||li _| ̄|○ il||l  どよ〜ん
    ここまで何の救いもない最悪の状態で幕が下り観客が放り出されるとは思わなかった。 
    こんな絶望的な終わり方をするお芝居ってギリシャ悲劇だけかと思ってたのに。(T T) 
    そしてギリシャ悲劇ならおとぎ話的に自分の中で処理できるけど、この作品はまさに現代の話だし、「THE BEE」を見た後だけに…打ちのめされるなあ。
     
    私は中東・パレスチナの民族問題、宗教問題に関する知識はほぼ皆無なので、地名が出てきただけで「やばーい!何もわからないかも」と思ったけど、まあ背景の詳細を知らなくても、そこにいるマフムードやハンスがどういう人生を生きてきたかは徐々に語られるので見えてくる。 

    マフムードが年齢相応の「青年」として、個人として生きていくことはどう考えても絶望的で、ようやく掴みかけた新しい幸せは自分の手で粉々にしなければならない…もうそこに終結することは「必然」なんだけど、そこに向かっちゃっているのはわかるんだけど、それでも何とかならないのか、道はないのかと観客席で固まったまま願ってしまった。
    やっぱり無理だったけど。
     
    一応この作品の紹介にはこんなことが書いてあった。

    「オランダを舞台にユダヤ人のパン職人と、ある事件をきっかけに偶然そこで働く事となったパレスチナ人青年との心の交流と別れを描く。
    人間同士の本質的な愛情とそれをもってしても越えられない歴史や憎しみを描きながら、人種や宗教の壁を超えた人と人との繋がり、人間にとって本当に大切なこととは何かを考えさせてくれる秀作である。」

    こんな状況でも人は人を愛することができる。 こんな状況でも人は宗教を超えて友情を育むことができる…。そこはこのお芝居の明るい部分。 
    でも!「それをもってしても越えられない歴史や憎しみ」に乗っ取られて終わっちゃうんだけどね。
    それが現実なんだろうし、日本で平和に暮らしながら演劇を通してショックを感じている人間ごときは、この件にもっともらしいコメントを付けることはできない。
    ちなみに「負傷者16人」ってそこからきたの?!と最後にさらにこの題名の意味に打ちのめされると言うオマケもついてくる。
    こういう海外戯曲を上演する新国立劇場に驚きと尊敬を感じる。

    それにしても井上君、すごかった。 膨大な台詞の応酬はもちろんのこと、憎しみに固まっていた彼がノラに一目ぼれして挙動不審になったり、憎しみの対象だった「ユダヤ人」であるハンスに徐々に信頼を寄せるようになっていく日常の描写も見事。 
    鼻持ちならない人間を演じていても、何とも言えない「可愛げ」がある。
    こういうのが天性の華って言うのかなあ。ストレートプレイでも、ミュージカルでも、これって彼の最大の持ち味でしょ。 
    生まれてくる息子のためにハンスに祈りを教えるシーン、本物がどんなものか知らないけど、発音も発声も素晴らしく、歌のように美しく聞こえた。

    それにしても前日にエリザベートを見ていただけに、「あのかわいかった皇太子が…」という感慨ひとしお。彼のデビュー作を見たことは、将来大きな自慢になるでしょう。




    Posted by : chawan | 観る | 08:30 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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