個人的な偏りに満ちた観劇記を中心とした私的日常雑記です。「俳優 畠中洋さん」を熱烈応援中〜!
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5/24 イキウメ「ミッション」
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    イキウメ 「ミッション」

     2012年5月24日(木)19:30開演 シアタートラム
    同行者: 友人K

    作:前川知大
    演出:小川絵梨子

    <出演者>

    神山家
      父 司朗:井上裕朗  母 香依:岩本幸子
      長男 清武:浜田信也  次男 清己:渡邊亮

      叔父(司郎の弟) 怜司:安井順平 
      叔母(怜司の妻) 菜月:太田緑ロランス

    引きこもり 大河原和夫(怜司の弟子):大窪人衛
    引きこもり 益子真知子(怜司の弟子):加茂杏子

    ホームレス 脇坂三治:森下創 
    清武の友人 片倉肇:盛隆二 

    入院患者 持田喜美:伊勢佳世



    箱庭円舞曲の井上さんがこの舞台に客演するため箱庭円舞曲の公演に出演しないとわかり、それならこちらも見るしかない! しかもイキウメ!ずっと気になっていた劇団なのでちょうどいいきっかけ。これもご縁と言うもの。


    パンフレットに載っていたあらすじ拝借。
    「神山清己は優秀な会社員。
    幼い頃から常に周囲の期待を背負い、応えてきた。
    兄の清武も、出来る弟の平凡な兄、という立場に慣れきっていた。
    清己はある日、自宅裏の斜面を転がってきた拳大の落石を東部に受け、入院してしまう。
    十日程して会社に戻ると進行中の企画チームを外されていた。
    不条理な出来事に苛立つ清己を両親は慰めるが、久しぶりに会った叔父の怜司は違った。
    「自分にしかできない仕事なんて存在しない、本当の仕事を教えてやる」
    怜司は主夫業の傍ら、ひそかに「本当の仕事」を持っている。
    それは世界のバランスを取る重要な使命、と怜司は語る。
    世界からの「呼びかけ」に応え、行為に移す。
    その行為はどう見ても荒唐無稽で無意味だが、清己にはその馬鹿馬鹿しさが新鮮だった」

    いやー、面白かった! 奇抜な面白さの中にも色々考えさせられるセリフも多く、なんというか「起承転結」の非常にきっちりした作品だった。 
    しかもこの「転」が本当に「え?そっち?そっちに行っちゃうの?」って感じで、この話どうなっちゃうの?と不安になったんだけど、これがしっかりいい感じのラストに繋がってびっくり。素敵な脚本だなあ。 

    全体の感想というより、登場人物たちを通して感じたこと。

    怜司
    自分ではないものの声を聞けとか、世界のバランスを取るための使命があるとか、呼びかけに応えるべきだとか、大人が真面目に言ってしかも実行していたらかなりヤバイ人に見えるけど…でも誰でも子供の時には自分だけの「こだわり」とか「決め事」があったはず。 
    怜司がたまたまそのこだわりの強い子供で、自分の決め事を守れなかった時に母親が亡くなるという偶然が重なれば、それが彼の中でどんなに大きな意味を持ってしまうか、十分想像できる。 
    大人になってもそんなことを信じていられるのは人間としては未成熟で異端だけど、でも彼の存在は確実に周囲のバランスを崩し、崩したことでまた新たなバランスを取り戻す方向に物事が動き出した。 うーん、やっぱり彼の「使命」は本当なんじゃないか、という気がしてしまうから面白い。
    ひきこもりの大河原が起こした傷害事件は、怜司にとって自分の信念(?)が大きく揺らぎ覆される出来事で、実際持って行きようによっては大河原の主張もありなのではと思わされそうな後味の悪いことになりそうだったのに、これもまた救いのある方向へと転換したのが嬉しい。 
    怜司が大河原をしっかり抱きしめたシーンは感動! 
    いつも自分がバランスを取っているはずの世界の外側にいて、人ときっちり向き合えていなかった怜司もきっと少し変わっていく。菜月とも新しい関係が築ける。そんな未来を感じられるラストがよかった!

    菜月
    どうやって怜司と知り合ってどこを好きになってなぜ結婚したのか、じっくり聞かせて欲しいなあ。この人も相当な変わり者でしょう。(笑)
    怜司を理解して受け入れているようで、実は彼女も自分に都合のいいところしか見ていなかったんだけど、でもそれがわかった時、「ちゃんと話して」と正面から言える強さと、「理解できなくたって応援することはできるでしょ?」と言う姿勢がステキ。
    そうなのよ!たとえ応援もできないとしても、相手と自分が同じ世界に共存していることを容認できるだけで世界の争いは減る!(いきなり大きく出た!)

    司朗
    司朗は怜司よりも年上だった分、現実を直視することで母を失った悲しみも乗り越えたんだろうし、技術者バカの父親が経営に失敗した工場を立て直すこともできた。 でも父親の夢を潰してしまったことは彼にとっても心の傷になってしまったんだよね。 だからこそ余計に自分の正しさを証明するように頑なに「現実に成果の見えること」だけに価値を見出しながら生きる道を突き進んだわけで…。家族のバランスが崩れたところに物理的な「家」も崩壊という目に会うけど、自分だけが家族を背負っているつもりになっていた肩の荷を下ろして、対等な関係を築き直せるはず。今までよりぶつかることも多くなるだろうけど、一方通行じゃない新しい家族関係を作ることは、司朗にとっても過去に捨ててきたものを取り戻すことになるはず。もしかしたら清武と「ロケットの部品」を作れる工場にだってしていかれるかも知れないじゃないの!(笑)

    ちなみに私は地味に長く会社員として働いているので、きちんと社会の役に立て、成果を出せ、現実を見ろ、という司朗の主張に共感できる部分は多い。社会や経済を回す歯車の一つであるという誇りもあるし。 
    でも結局それだけじゃ「世界は」バランスよく回らないんだよね。 
    怜司のような存在や、シンクロニシティの存在を受け入れるような余裕がないと、自分で自分をがんじがらめにするような世界でしか生きられないから。
    なーんて、普段の私は怜司的人間否定派なんだけど。 だってあんな人が親戚にいたら迷惑以外の何ものでもないでしょ?!(笑)

    清己
    「俺にしか出来ない仕事なんだ!」と言い切っている姿が痛々しかった。 そもそも、その人がいないと回らない仕事なんて作っちゃいけないのが会社というところ。 「俺にしか出来ない」って思っている時点でまだまだ会社の仕組みをわかっていない若造なのよ。 本当の意味で仕事の出来る人は、自分がいついなくなっても大丈夫なように仕事を回せる仕組みを作れる人。 若者が一人いなくなったって仕事は回るし、代わりはいくらでもいる。 会社できちんと人間関係が築けていれば、そういうことを教えてくれる先輩だっていたんだろうけど…
    ドロップアウトして回り道したけど、新たな挑戦こそ「俺にしか出来ないこと」なので頑張れ!

    清武
    へらへらして最初から勝負を投げているというか…負けていていいや、という態度は彼なりの処世術だろうし、そうしないと清己ばかり期待される家の中で生きていくことができなかったんだと思う。 「俺のことも見てくれ!」と言える自信も戦う気力も足りないのは、司朗の育て方の問題だよねえ。 
    そういう家族関係のバランスが崩れたからこそ、楽なポジションから一歩踏み出し、家族のために、自分のために動き始めたのが嬉しい。清武、君も頑張れ!(←なぜ上から目線?) 
    あ、でも友達は選ぼうよ。片倉、最悪。(笑)

    片倉
    清武の友人なのに、片倉がなぜホームレスの脇坂や大河原にあんな暴力をふるったのかよくわからなかったなあ…。 うーん、でも理不尽な暴力って世界にはいくらでも存在するので、ありって言えばありなんだけど。 
    脇坂は入院しちゃったから、刺された片倉もそっちに関しては加害者だよね? それによって大河原の罪が少しは軽くなるのかな。 なるといいな。


    なんか全然まとまらないままだらだら書いてるなあ。だいたいなんで登場人物にエール送ってるのか、我ながら意味不明…。(爆)

    とにかく「これからイキウメの舞台は見に行こう!」ってことで!








    Posted by : chawan | 観る | 02:19 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
    コメント
    夏のKAATでのお子様ver.も行かれますか?
    | まほちち | 2012/05/29 9:44 AM |

    >まほちちさん
    いらっしゃいませ! また前川さんと小川さんのコンビなんですよねえ。
    見たいんですが、期間が短いので微妙です。
    「子供にも見せたいから!」という言い訳もきかないし。(笑)
    | chawan | 2012/05/31 12:47 AM |










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